【公演・文化交流事業 実施報告】
一般社団法人和音は、2026年3月、チェコ共和国およびポーランド共和国において、海外公演事業
「中欧/チェコ・ポーランドを巡る 和と洋のコラボレーションツアー 2026」
を実施いたしました。
本事業は、能、箏、和太鼓といった日本の伝統芸能と、ピアノ、チェロなどの西洋音楽との協働を通じて、日本文化の魅力を中欧の地に伝えるとともに、現地の歴史・文化・芸術家との出会いから新たな舞台表現を創造することを目的とした国際文化交流プロジェクトです。
チェコ・ポーランド各地において、公演、レクチャー、大学・文化機関との交流事業を行い、多くの来場者から温かい拍手と高い評価をいただきました。

【公演事業の内容】
本ツアーでは、単に日本の伝統芸能を海外で紹介するだけでなく、現地の文化や歴史と向き合いながら、新たな創作へと発展させることを大切にしました。
能の身体表現、箏の響き、和太鼓の力強さに、ピアノやチェロなどの西洋楽器を組み合わせることで、東西の芸術が互いに響き合う舞台を目指しました。
また、各地の文化機関、大学、大使館との連携により、舞台公演に加えて、学生や一般市民に向けたレクチャー公演や文化交流も実施しました。
本事業は、芸術公演であると同時に、教育的・文化外交的な意義を持つ取り組みとなりました。
【実施都市・事業概要】
今回のツアーでは、以下の4都市を巡りました。
- プラハ(チェコ)
- ヴロツワフ(ポーランド)
- クラクフ(ポーランド)
- ワルシャワ(ポーランド)
各都市において、コンサート公演、新作舞台作品上演、レクチャー公演、大学・文化機関との交流事業を行いました。
移動、楽器運搬、現地リハーサルなど、海外公演特有の困難もありましたが、出演者・スタッフ・現地協力者の連携により、全行程を無事に終えることができました。
【各都市での活動報告】
プラハ
在チェコ日本国大使館 広報文化センター
レクチャー公演
2026年3月23日
プラハでは、在チェコ日本国大使館広報文化センターにて、日本文化に関心を持つ来場者に向けたレクチャー公演を行いました。
能、箏、和太鼓をそれぞれ紹介し、実演と解説を交えながら、日本の伝統芸能が持つ身体性、精神性、音の世界を伝えました。
来場者からは、日本文化をより深く理解できたという感想が寄せられ、文化紹介・教育交流の両面で意義ある時間となりました。


「HAMU マルティヌーホール公演」
2026年3月24日
翌日は、プラハ芸術アカデミー HAMU のマルティヌーホールにて本公演を実施しました。
歴史ある芸術大学のホールにおいて、日本の伝統芸能とチェコの音楽文化が交差する舞台となりました。
本公演では、チェコの若きピアニスト Matyáš Novák 氏と共演し、新作
《あはひの光に魅せられしもの》
Those Enchanted by the Light Between Worlds
を上演しました。
本作は、能《羽衣》とドヴォルザークのオペラ《ルサルカ》に着想を得た舞台作品です。日本とチェコ、それぞれの水辺の物語、異界との境界、そして人間の憧れを重ね合わせることで、東西の物語が響き合う作品となりました。
限られた現地リハーサル時間の中でも、出演者全員の集中力と Matyáš Novák 氏の卓越した演奏により、深い余韻を残す舞台となりました。

【現地共演者紹介】
Matyáš Novák
Piano|Czech Republic
チェコの気鋭のピアニスト。確かな技巧と詩情豊かな表現力により、ソロ・室内楽の両面で高い評価を受けています。
本ツアーではプラハ公演に出演し、チェコ音楽の魅力を伝えるとともに、日本の伝統芸能と西洋音楽の出会いから生まれる新たな舞台表現を、鮮やかなピアニズムで支えました。

ヴロツワフ
「ヴロツワフ市庁舎大ホール公演」
2026年3月26日・27日
ポーランド最初の公演地であるヴロツワフでは、歴史的建築であるヴロツワフ市庁舎大ホールにて、2夜連続の公演を行いました。
当初予定されていたクションシュ城公演は会場事情により変更となりましたが、代替会場となった市庁舎大ホールは、音響・設備ともに充実しており、結果として非常に充実した公演環境となりました。
両日とも会場は満席となり、初日は「さくら祭り」オープニングイベントとして、市長による挨拶や日本大使館関係者のご挨拶も行われ、公式文化事業として華やかな幕開けとなりました。


ポーランド公演のための新作初演
「At the Open Gate – A Story of People,
Land, and Memory」
ヴロツワフ公演では、ポーランド公演のために創作した新作
「At the Open Gate – A Story of People, Land, and Memory」を世界初演しました。
本作は、日本とポーランドの歴史的なつながりを題材にしながら、国境や時代を越えて人と人が結ばれてきた記憶を描く舞台作品です。
作中では、ポーランドの民族学者 Bronisław Piłsudski が日本でアイヌ文化の研究に尽力した歴史、また福井県敦賀の港が戦乱や迫害の時代に多くの人々を受け入れた「開かれた門」として機能した歴史に着想を得ています。
アイヌ、ポーランド、日本。それぞれ異なる文化や民族の記憶を一つの舞台空間に重ね合わせることで、本作は「記憶を受け継ぐこと」「他者を受け入れること」「歴史から未来への希望を見出すこと」を問いかけました。
芸術的には、能の象徴性、祈り、身体表現と、音楽、字幕演出、国際共同制作を融合させた新しい舞台表現への挑戦となりました。
終演後には、
「素晴らしい作品だった」
「歴史を新しい形で知ることができた」
「ぜひ再演してほしい」
といった声が寄せられ、現地の観客から大きな反響をいただきました。







【現地共演者紹介】
Anna Fender
Cello|Poland
ポーランドの若きチェリスト。クラシック音楽を基盤に、室内楽や学際的な舞台表現にも関心を広げながら活動しています。
ワルシャワ大学日本学科に所属し、日本語だけでなく日本文化全般を学び研究しています。大阪万博ではポーランド館スタッフとして勤務し、日本語での円滑なコミュニケーションも可能な、今回の文化交流を象徴する共演者です。
本ツアーでは、新作
At the Open Gate – A Story of People, Land, and Memory
に出演したほか、宮城道雄《春の海》において箏との共演も行いました。


クラクフ
Manggha Museum of Japanese Art and Technology
レクチャー公演
2026年3月28日
クラクフでは、Manggha Museum of Japanese Art and Technology にて2日間の企画を実施しました。
同館はポーランドにおける日本文化発信の重要拠点であり、その場で日本の伝統芸能と新作舞台作品を紹介できたことは、大きな意義を持つものでした。
初日のレクチャー公演には、日本語学習者や日本文化愛好家を中心に多くの方々が来場しました。実演を交えた解説に熱心に耳を傾け、質問も多く寄せられ、質の高い交流の時間となりました


Manggha 本公演
2026年3月29日
2日目の本公演は、満席に近い盛況となりました。
終演後にはスタンディングオベーションが起こり、来場者から直接「ぜひまた来てほしい」との声もいただきました。
また、館長からも丁重なお言葉と記念品を頂戴し、日本文化を紹介する施設において、日本の無形芸術とポーランドとの共同創作が温かく受け入れられたことは、和音にとって大きな励みとなりました。

ワルシャワ
ワルシャワ大学 日本学科レクチャー公演
2026年3月30日 午後
ツアー最終日には、クラクフからワルシャワへ移動し、ワルシャワ大学アジア・アフリカ文化学部日本学科にてレクチャー公演を行いました。
日本学科を中心とした学生約100名が参加し、能、箏、和太鼓、日本の舞台芸術について、実演を交えながら紹介しました。
学生たちからは、
「生で触れられて貴重な体験だった」
「日本文化をより深く身近に感じた」
といった感想が寄せられ、教育交流として大きな成果を感じる機会となりました。





在ポーランド日本国大使館
広報文化センター レクチャー公演
2026年3月30日 夕刻
同日夕刻には、在ポーランド日本国大使館広報文化センターにて、レクチャー公演と新作
「At the Open Gate – A Story of People, Land, and Memory」
の上演を行いました。
当日は河野大使閣下にもご来場いただき、作品の意義について温かいお言葉を頂戴しました。
また、本作のテーマである Bronisław Piłsudski についてご助言をいただいた、元駐日大使の Jadwiga Rodowicz 様にもご観覧いただき、作品に対して高い評価をいただくことができました。
さらに翌日には大使公邸へご招待いただき、ツアー全体への労いと、今後の日ポ文化交流への期待のお言葉を賜りました。
これは、和音にとって誠に名誉なことであり、今後の活動へ向けた大きな力となりました。




【現地協力者への感謝】
今回のツアーは、多くの現地協力者の皆様のご尽力なくして実現しませんでした。
プラハでは、市村幸恵様ご夫妻、Hybl会長、ピアニスト Matyáš Novák 様、通訳の Erika Krouská 様に多大なるご協力をいただきました。
ヴロツワフでは、Przemysław Błaszczak 様をはじめ、さくら祭り関係者の皆様に大変お世話になりました。
クラクフ・ワルシャワでは、Yoko Fujii Karpoluk 様、Jakub Karpoluk 様ご夫妻、Jadwiga Rodowicz 様、そしてチェリスト Anna Fender 様に大きなお力添えをいただきました。
また、日本大使館、大学、各会場スタッフ、技術スタッフの皆様にも、深く感謝申し上げます。
【事業を通じて得られた成果】
本ツアーを通じて、和音は以下の成果を得ることができました。
第一に、日本の伝統芸能が中欧の観客に強い関心を持って受け入れられたことです。能、箏、和太鼓という日本独自の芸術表現は、言語や文化の違いを越えて、現地の人々の心に届きました。
第二に、現地芸術家との協働により、単なる紹介型公演ではなく、土地の記憶や文化的背景に根ざした新作を生み出すことができました。
第三に、大学や大使館、文化機関との連携により、芸術公演と教育交流を結びつける実践ができたことです。
第四に、今後の再演や継続的な交流につながる人的ネットワークが形成されたことです。
今回の活動は、和音にとって単なる海外公演ではなく、今後の国際文化交流事業の重要な礎となりました。
【今後に向けて】
各地で寄せられた「また来てほしい」という声は、今回の活動が一過性のイベントではなく、未来へ続く文化交流の第一歩であることを示しています。
一般社団法人和音は、今回得た経験と信頼を土台として、今後も日本の伝統芸能と現代的創造を結び、世界の人々と響き合う舞台を創り続けてまいります。
文化は、国境を越えて人と人をつなぎます。
音と舞は、言葉を越えて記憶と感情を共有します。
和音はこれからも、日本文化の深い精神性を大切にしながら、新たな時代にふさわしい国際文化交流の形を探求してまいります。
【ご支援への御礼】
本事業は、一般社団法人東京倶楽部による文化助成、ならびに READYFOR クラウドファンディングを通じてご支援くださった皆様のお力により実現いたしました。
海外での安全な移動、楽器運搬、会場対応、制作準備など、多くの場面で皆様からのご支援が実際の力となりました。
あらためまして、ご支援くださった皆様に心より御礼申し上げます。
【ご支援・ご協力団体】
〈助成〉
一般社団法人 東京倶楽部
〈チェコ〉
チェコ公演 後援:チェコ日本友好協会
Česko-japonská společnost
チェコ公演 後援:チェコ日本商工会
Japonská komora průmyslu a obchodu v ČR
チェコ公演 協力:在チェコ共和国日本国大使館
Embassy of Japan in the Czech Republic
広報文化センターレクチャー公演 主催:在チェコ共和国日本大使館 広報部
Japanese Information and Culture Centre, Embassy of Japan in Czech Republic
〈ポーランド〉
ヴロツワフさくら祭り公演 主催:ヴロツワフさくら祭り財団
Fundacja Zarzewie / Wrocław Sakura Festival
さくら祭り 後援:在ポーランド共和国日本大使館
Embassy of Japan in Poland
クラクフ公演 主催:マンガ日本美術技術博物館
Manggha Museum of Japanese Art and Technology
ワルシャワ大学 日本学科レクチャー公演 主催:ワルシャワ大学 アジア・アフリカ文化学部 日本学科
University of Warsaw, Faculty of Asian and African Studies – Japanese Studies
広報文化センターレクチャー公演 主催:在ポーランド共和国日本大使館 広報部
Japanese Information and Culture Centre, Embassy of Japan in Poland
【総合プロデュース】
一般社団法人 和音
代表理事 津村禮次郎
専務理事 渋谷牧人
【日本チーム出演・スタッフ】
津村禮次郎
観世流シテ方能楽師・重要無形文化財保持者・能演出・出演
永島充
観世流シテ方能楽師・重要無形文化財保持者・出演
坂真太郎
観世流シテ方能楽師・重要無形文化財保持者・出演
山本雅楽邦
箏曲家(生田流正派)・箏演奏
坂本雅幸
太鼓奏者・和太鼓演奏
渋谷牧人
作曲家・台本・構成・音楽監督・企画制作・司会
河田康雄
音響・舞台監督
日暮真香
制作アシスタント・運営サポート
【クラウドファンディング支援者の皆様】
本プロジェクトはREADYFORを通じて多くの皆様より温かいご支援を賜りました。
ここに、ご芳名掲載を希望された支援者の皆様のお名前を掲載し、
深く感謝申し上げます。
We would like to express our heartfelt gratitude to all those who generously supported “Japanese Spirit and Western Expression: A Collaborative Tour in Central Europe 2026” through our crowdfunding campaign.
With deep appreciation, we are pleased to list the names of our supporters below.
【支援者名掲載欄】
Nagura Kimiko
NORIKO N
TAKANOBU NISHIDA
T.TAKAHASHI
DOUMEKI TAKESHI
VOICE OF SPINE
Naomi
Mochizuki Rin
Ejiri Fujiko
Yoshi
Yasuo Tsukada
H.M.
Kawaguchi Yasuko
okamura
Kyoko MIZUTANI
C.Y.
Mayumi SUZUKI
Balloon Shop COSMIC
Utanoichi Okuda
Takashi Niimi
ISSEI NISHIOKA
NAOKI